◀ Previous | TOC |
電磁波
物体は, 表面に到達する電磁波を
反射するか, 吸収するか, 透過するか.
吸収率が 100% の物質を黒体 (black body) という.
表面積 \(A\) の黒体が単位時間に放射するエネルギー \(q_\mathrm r\)
\(e\): 黒度 (emissivity) [-]
\(\sigma\): Stefan-Boltzmann 定数, \(\mathrm{5.67 \times 10^{-8}~W \cdot m^{-2}\cdot K^{-4}}\)
種々の物質表面の黒度については, 教科書 p.262, 表 6・2を参照.
地球の半径を \(\mathrm{6,371 ~ km}\) とする. 大気の外で太陽に垂直な平面が(単位面積あたり単位時間あたりに)受け取る放射エネルギーを \(\mathrm{ 1.37 kW \cdot m^{-2}}\) とする. 以下の仮定のもとでの地表の平均温度を求めよ.
アルベドを \(0.3\) とする.
つまり, 入射エネルギ−の 3 割は反射され, 地表に到達しない.
地球の黒度を \(1\) とする.
温室効果が全くないと仮定する.
地球が熱的に定常状態にあると仮定しする.
2 つの黒体, 黒体 1: \(T_1\), 黒体 2: \(T_2\) (\(T_1 > T_2\)),
単位時間に黒体 1 から黒体 2 に移動する熱量 \(q_{12}\)
ところが, \(A_1 F_{12} = A_2 F_{21}\) だから
黒体では電磁波の反射がないことに注意
\(F_{12}\), \(F_{21}\) は位置関係のみで決まる. 位置関係を変えずに温度 \(T_1\), \(T_2\) だけ変化させると考える. このとき, どのような温度の組み合わせに対しても式 (6・35) が成り立つ. ということは, この式は \(T_1 = T_2\) でも成り立つということである. そこから, 角係数について
が得られる.
黒体と違って反射がある.
式としては式 (2) の \(F_{12}\) を \(\phi_{12}\) に変えただけ.
\(\phi_{12}\): 総括吸収率 (absorptivity factor) [-].
教科書表 6・3 に \(\phi_{12}\) の計算式の例がある.
無限平行平板の場合
\begin{equation*} \frac{1}{\phi_{12}}= \frac{1}{e_1} + \frac{1}{e_2} - 1 \tag{4} \end{equation*}
石川高専の次のページでは, 連立方程式を解くことで (3), (4) を導出している. http://omm.ishikawa-nct.ac.jp/ex/exercises/pbC1gAAA/
地球の半径を \(R\) とすると, エネルギ−を受け取る面積は \(\pi R^2\),
アルベドが \(0.3\), エネルギーを放出する面積は \(4 \pi R^2\).
従って, 地表からの放射熱(単位面積あたり単位時間あたり)は,
式 (1) を変形して
\begin{align*} T^4 &= \frac{q_\mathrm r}{A} \sigma \\ & = (0.2397 \times 1000)\frac{1}{5.67 \times 10^{-8}} \\ & = 4.228 \times 10^9 \ (\mathrm K^4) \end{align*}
これより,
\begin{align*} T & = (4.228 \times 10^9)^{1/4} \\ & = 254.9 = 255~\mathrm K \end{align*}
[1]:
1.37*1000 /4 * .7 / 5.67e-8
[2]:
4.228e9**0.25
◀ Previous | TOC |